解説民法 民法6条 未成年者の営業の許可

解説民法 第7回

(未成年者の営業の許可)
第六条  一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2  前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

1項 
特定の営業の許可を許された未成年者は、その特定の営業に関しては、未成年者として取り扱わないというものです。(一切の営業を許可というのは不可。また、10万円以下の取引を許すというような何の営業かを指さないものも不可です。)

営業とは、営利を目的として同種の行為を反復継続することをいいます。
独立主体となることを指し、雇われることは基本的に含まれません。(諸説あり)

営業の許可、特別な方式を要求されておらず、黙示的でも構いません。
判例には、「未成年者が営業を営むのを親権者が監督している事実があればあれば許可があったとみなすことができる」(大刑判明治34年3月22日)というものがあります。
但し、これは一例であって、明確な許可出ていない場合には、事例ごとに検討する必要があります。

許可がされますと、その範囲では大人と同じですから、その範囲のことを未成年を理由として取り消したり、親権者は代理して行うこともできません。

2項 
許可を取り消された場合であっても、その効果は将来にのみの効果で、今までしたことは取り消しの対象にはなりません。
「制限する」という表現は、先ほどの例のように10万円以下の取引だけ認めるというようなことを指しているではなく、それまで例えば2つの特定営業の許可があった場合に、一つは許可を取り消すというようなことを指しています。
なお、許可が全て取り消されると、それまでの行為は別ですが、それ以降は単に未成年として評価されます。(⇔婚姻による成年擬制。離婚しても成年として評価される。)

第四編(親族)の規定に従い
→民法823条2項及び857条但し書きを指します。

(職業の許可)
第八百二十三条  子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
2  親権を行う者は、第六条第二項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

(未成年被後見人の身上の監護に関する権利義務)
第八百五十七条  未成年後見人は、第八百二十条から第八百二十三条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。ただし、親権を行う者が定めた教育の方法及び居所を変更し、営業を許可し、その許可を取り消し、又はこれを制限するには、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。