解説民法 民法5条 未成年者の法律行為

解説民法 第5回

(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

1項 未成年者という文言が出てきました。これは4条の規定する成年に満たない年齢のものを基本的には指すことになります。

法律行為→行為者が一定の法律効果(売買、賃貸借など)=権利義務の変動を生じさせる意思で、ある行為をなし、その意欲した通りの効果を生ずる行為。なお、この規定には、婚姻など身分行為は含まれません。

なお、準法律行為は一定の範囲では未成年者も原則的に単独でできます。
準法律行為→意思、意欲とは無関係に、法の独自の観点から一定の行為について法律上の効果が発生するもの。
例えば、未成年が「払ってくれよ」と言うのは、債務の履行の催告というものですが、これによって、他の条文に規定するもの(早く払ってと言った以外の効果)に効果が反映されていきます。(時効の完成猶予など)

法定代理人→親権者、未成年後見人を指します。
法的代理人の同意をこの条文は要求しています。

ただし以降は、得になるだけの場合は、できるとしています。
社会の荒波から守る為の条文なので、得になるだけならOKというところです。

第2項 前項の規定に反する法律行為→未成年者が法定代理人の同意を取ってないでした法律行為を指します。
この場合には、その法律行為は取り消せます。

日常生活でよくあるのは、古本屋さんなどに、本を売るときには、親の承諾書を要求します。これがないと、やっぱりやめたから、さっきの本返してくれと古本屋さんは言われてしまうのです。

なお、同意の方法は、事前若しくは同時に未成年または相手方に行うことで成立します。
しかし、同意が内容を考えないで概括的に与えた場合は、同意として成立しません。これは、同意は、その後の利害得失を考えてするかしないかを決めることがそもそもに内在しており、内容・範囲の不明な同意は同意として機能していない為です。

なお、父母は共同親権者とされていますので、同意は両親ともにから、なされる必要があります。一方のみのものは本来、ダメです。
但し、相手方がそのことについて知らない場合(同意書に家で母親が父親の分まで署名したような場合)は、同意は有効となっています。(民法825条)

3項 目的を定めて処分を許した財産→旅費とか学費などが典型
目的を定めないで処分を許した財産→典型的には小遣いです。
いずれにしても範囲を設定しているというのがミソであって、全財産好きなようにしてよいというのでは許可として認められません。