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債務整理手続の流れ
①ご相談を受けて、一定額の着手金を頂いた後、各債権者に受任通知を送ります。この段階では、必ずしも債務整理の処理方針は確定していません。
受任通知を送ると、取立てが禁止になります。
訪問はおろか、電話もいけません。貸金業法という法律で規制されており、やったら警察沙汰なのです。
なお、着手金についてですが、報酬基準をご覧下さい。
事案によっては、着手一時金の支払いについてご相談にのりますし、頼る術がなければ、法律扶助という国の立替システムを使って、お金を用意できるので、安心して下さいね。
②各債権者から債権情報の開示がされます。
2週間から6週間程度。
まれに遅いところでは2ヶ月以上かかります。
なお、半分だけ開示とか変なことしてくるところもありますので、適宜時間がかかるかもしれません。
③開示を受けて、債務額がだいたい確定します。
過払金の有無や残額等を考慮して、債務整理の処理方針を決定します。
任意整理の場合
任意整理といっても、初めてのことで、不安も多いと思います。
ここでは、どのような基準で任意整理が行われるのか、そして、最後に返済スタートまでの流れをご説明していきますね。
債務の確認
まず、債務がどのくらいあるかをお伺いしていきます。
どこの業者からいくらずつ借りているか、保証人や担保の設定はあるかなどをお伺いしていきます。
その上で、予想返済額を割り出します。
基準は
A 最低月額3,000円から5,000円
B 最大60回払いとなっています。(NTTドコモなど一部業者は最大36回)
総返済額は、概ね元本額と司法書士介入までの利息(業者によっては和解成立までの利息)となり、将来の利息はカットされます。
なお、支払い開始はおおむね3から6か月後にスタートになります。
例
/ | 元本 | 月返済額 | 回数 | 総支払額 |
---|---|---|---|---|
X社 | 50万円 | 8,700円 | 60回 | 522,000円 |
Y社 | 30万円 | 5,250円 | 60回 | 315,000円 |
Z社 | 10万円 | 3,000円 | 34回 | 102,000円 |
合計 | 90万円 | 16,950円 | 最長60回 | 939,000円 |
X,Y社は元本+αを60回払いという最大回数を基準とし(基準AもBも満たす)
Z社は最低月額3000円というのを基準としています。
(基準Bの60回ということを前提にしてしまうと、月3000円を下回ってしまい基準Aを満たさない為、最低額の月3000円になっています。なお、業者によっては最低5000円を要求するところもあります。)
少しわかりにくいかもしれません。
説明が下手で申し訳ないです。もちろん、面談時には詳しくご説明させて頂きます。
任意整理することでの利点は、次の通りです。
- 一旦支払いをストップしますので、態勢を整えることができます。
- これからの利息をカットしますので、いつまで経っても返済が終わらないということもなく着実に借金が減っていきます。
- 多くの場合は、月々の支払額を圧縮することが可能となります。
家計状況の確認
次に、現状の収入と家計支出を割り出していきます。
こちらでご用意します家計収支表というものに月の収入支出状況を大まかに入れ込んでいき、もし、返済がなかったなら、どれだけ手元に残るかを考えていきます。
思ったより、お金がかかっているなと気づかれるかもしれませんね。
この計算により、返済に充てることのできる金額を割り出します。
例えば
収入 | ||
---|---|---|
給料 | 20万円 | |
収入合計 | 20万円 | |
支出 | ||
家賃 | 6万円 | |
食費 | 4万円 | |
酒・たばこ | 1万円 | |
光熱費 | 2万円 | |
保険料 | 2万円 | |
医療費 | 1万円 | |
娯楽費 | 1万円 | |
支出合計 | 17万円 |
この場合、20万ー17万円で返済最大可能額は3万円ということになります。
先ほどの例では月3万円返済可能という計算になりましたが、支払いは60回、つまり5年間に及びます。
月3万円という返済は、長期間にわたります。
ご年齢や家族構成によっては、この5年間が持つ意味は大変変わっていきます。
例えば、中学生のお子さんがいるという場合、高校入学時にかかるお金を返済しながら工面が可能か。
ご結婚を考えているという場合、新生活でも返済が可能か。
また特には予定のないものの、友人家族の冠婚葬祭や、家電製品の故障、病気などで、突然の支出があったときに対応できるのか。
その辺りのライフプランを踏まえて、なお返済が可能かを検討していきます。
これが難しいという場合は、破産や民事再生ということも検討の対象に入れていく必要が出てくるかもしれません。
なお、支払い開始まで数か月ありますので、その間にもしかのお金を貯金して頂くのも有効な方法となります。
人生の一大事ですので、一緒に慎重に考えていきましょう。
任意整理の方針となりましたら、契約し、具体的に進めていくことになります。
司法書士への支払は分割で大丈夫です。(多くの方は月1万円程度)
/ | 司法書士の動き | ご本人の関係 |
---|---|---|
STEP1 | 司法書士が受任通知発送(受任から数日以内) | 以降、取り立てが止まります。 |
STEP2 | 受任から1から2か月で各社から順次債権情報が司法書士に送られてきます。 | この間に体制を整えて頂き、貯金を開始。 |
STEP3 | 受任から2か月から3か月くらいで各社から支払いの打診が始まります。 | 貯金状況等を確認し、いつ支払い開始かを見極めていきます。 |
STEP4 | 受任から3か月から5か月くらいで各社と和解交渉。 | 貯金状況等を確認し、いつ支払い開始かを見極めていきます。 |
STEP5 | 和解が成立し、和解書を交わします。 | 和解書の写しと返済計画表をご提供しますので、ご確認頂きます。 |
STEP6 | 支払い開始。毎月和解で定めた一定の日までに債権者の指定口座にお振込みして頂くことになります。 | |
STEP7 | 以降、支払いが続き、全て完済となれば、借金は晴れて無くなります! |
破産の場合
前提条件 支払不能であること
これには、二つの条件があります。
今ある収入では、完済の目途が立たないこと
そして、今ある財産では、完済できないこと
この二つの条件が揃った場合に支払不能であると言います。
収入で完済の目途が立たないというのは
客観的にこの場合とはっきり決まっているわけではないのですが
概ね3~5年で支払いきることができないことと考えられています。
(もっとも住宅ローンなど長期間の支払を前提とするものは別です。)
感覚的には支払をしていっても、これは支払えないというものです。
さらに、返済の継続性も一つの目安となります。
例えば、収入が20万円で支出が18万円で、返済が5万円であれば、毎月マイナス3万円。
このような場合は、無理やり支払いをしたとしても(借入たりして)すぐに破綻します。
このような場合は支払いが状態といって差し支えありません。
なお、この収入というのは、自分の収入を指しており
例えば、夫が高給取りでも、高齢の専業主婦の場合、収入はゼロとして考えます。
(但し、勤労年齢にあって、働いたら返せるのではという場合は、必ずしも支払不能とは言えません。)
全財産で支払いができないこと
継続的な収入がなくても、例えば不動産を売却すれば、借金はなくなるというような場合は、支払不能とは言いません。
②過払金があれば回収する。
③とにかくたくさんの書類を集めてもらいます。
収入・財産関係の書類の一切です。
口座のある全ての通帳、給与明細や源泉徴収票、車検証、保険関係の書類などなど。特に自営業であれば資産状況を報告するため、詳細な資料が必要です。
あと作成が必要なのが、家計収支表。家計簿の簡易なものです。
④経過を詳しく聞いて書面にする。
借金が増えていった過程を裁判所に報告しなければなりません。
ある程度、素案を書いて頂き、そこから、詳しく詳しく聞き取って作成します。
相当詳細なものが必要となり、適宜裏づけとなる書類も必要となることもあります。
免責不許可事由がある場合などは、それをフォローするような事柄をよくよく聞く必要があります。
⑤書類等が揃えば申立。
ここまでの時間は簡単な事案であれば3から4ヶ月程度ですが、
集める書類の多さや、事件の複雑さやあなたの忙しさによって
進み具合は大分変わります。
事業を営まれている場合はかなり時間がかかられることが多いです。
申し立てまで相当な時間を費やすことになりますが、一緒に頑張りましょう。
⑥申立後は裁判所から指示がきます。
追加資料の指示があります。堺では必ず、本人直筆の反省文を書かせたりします。この当たりは裁判所によって違います。書類で足りない場合はあなたを裁判所に連れてきて説明をするよう指示が入ります(破産審尋)。私も一緒に行きます。
⑦破産開始決定
情報が出尽くしたところで、財産の処分について確定させていきます。何も財産が無ければ決定と同時に終わります。財産がしっかりある場合などは破産管財人という管理者が就き、その処分をします。(管財人の費用は申立人が出す必要があります。財産があればそこから出ます。)
⑧免責審尋
裁判官から、厳しい話を受けます。大阪地裁の場合、集団審尋が復活したようで、まとめて何人かを呼ぶこともあります。私も一緒に行きます。
裁判所によっては、事案によってこれがないこともあります。
なお免責不許可事由が多い場合などは、ここに至るまでに破産管財人がつき、厳しく追及を受けることがあります。最悪の場合は免責を受けることができません。(借金が残ったままになる)
免責とは?
‐免責不許可事由がないか、あっても裁判官が裁量で免責すること
いきなり、専門用語から始まって申し訳ありません。
一つ、一つご説明していきますね。
免責不許可事由がないこと
免責とは借金の支払責任がなくなることです。
破産を申し立てた場合、原則的に裁判官は、免責の決定をします。(借金を支払わなくてよくなる。)
ところが、一定の場合は、免責できないと破産法に規定があります。
それが免責不許可事由です。
免責不許可事由には
1詐害目的での財産の不利益処分
(財産隠しの為に他人名義にする等)
2不当な債務負担行為
(破産手続きを遅らせる目的で、お金を借りたりクレジット利用したりすること。遅らせる目的というのは、支払いできない状態なのに、それを隠す為などに借りることを言い、単になんとかお金を回そうとすることは言いません。)
3不当な偏頗行為
(特定の債権者だけが有利になるように支払いをしたりすること。友人だけ支払いをしたり場合等に当たります。)
4浪費または射幸行為
(浪費は日常用語のそれとほぼ変わりません。射幸行為というのは、ギャンブルなどを指しています。)
5詐術による信用取引
(もう支払ができないと知っていて、さらにクレジットを組むことを指しています。)
6帳簿隠滅等の行為
(例えば、自営業などは業務上の財産状況などを示す帳簿類はあるはずです。それを処分すると、公正、適切な破産処理が難しくなりますので、そのような資料を処分すると免責不許可事由となります。)
7虚偽の債権者名簿の提出
(債権者名簿に載っていない債権者には破産の効力が及ばないことがあります。他に債権者がいるにも関わらず、あえて載せないと、他の債権者と公平性に欠きます。債権者が望む望まないは関係なく、全ての債権者を公平に扱う為に名簿にはすべて載せる必要があります。)
8調査協力義務違反
(裁判所は、申立人に色々な質問、調査を行うことができます。それに対して、拒否したり、嘘をついたりするとこれに当たります。有名な裁判例では、退職金の存在をあえて言わなかった場合に悪質として免責許可されなかったというものがあります。)
9管財業務妨害行為
(一定の財産がある場合や、財産関係に複雑な点がある場合などは、破産管財人という管理人がつきます。財産が残っている場合は、破産管財人に引き渡しを要します。その破産管財人の職務を妨害したり、財産の引き渡しの拒否などをすると当たります。)
10免責後7年以内の免責申立等
(いったん破産免責をしたものが、短期間に何度も破産制度を利用して、免責されることはモラルハザードに繋がるので、7年以内に破産していると、次は免責されないことがあるということになっています。)
11破産手続・免責手続上の義務違反行為
(説明をしなかったり、重要な財産を隠したり、裁判所の指示に協力しなかったり、勝手に連絡が取れなくなったり、裁判所に出頭すべき日に来なかったりするとこれに当たることがあります。)
上記のような免責不許可事由がある場合、免責許可は下りないのでしょうか?
実際は、免責不許可事由があっても、破産手続きに誠実であれば、ほぼ通ります。
(借金が増えていく過程でやってしまったことはある程度しょうがありませんが、裁判所に嘘をつくなどをすると通らないかもしれません。)
破産法は平成16年に改正されており、その後、破産申立をしたが、免責されなかったという事例は極めて珍しいです。
実際、これを経験した法律職は極めて少なく、私自身、聞いたことがありません。
(もし本当に免責されない事案の場合は、裁判所が取下げを勧めるとは言われています。しかし、これを経験した人も聞いたことがありません。)
免責不許可事由がある場合でも、裁判所は、裁量で免責することができると破産法で決まっており、この規定によって、免責がなされるのが普通です。
免責不許可事由が全くないという方の方が実際には少なく、免責不許可事由=免責されないとなれば、ほとんどの人が免責されないことになります。
破産法は、実は経済的にやり直しをする為にあるという背景もあります。
経済的にやり直しをする為の法律という性格があるのですから、免責が難しいとなれば、あまり意味がありません。
ですので、破産手続きに誠実でさえあれば、最終的にはほとんどの場合は、解決できると言っていいでしょう。
⑨免責確定
免責の決定が下され、一定期間過ぎれば債務の免責が確定し、終了となります。
個人民事再生の場合
②過払金があれば回収する。
③とにかくたくさんの書類を集めてもらいます。
収入・財産関係の書類の一切です。
口座のある全ての通帳、給与明細や源泉徴収票、車検証、保険関係の書類などなど。特に自営業であれば資産状況を報告するため、詳細な資料が必要です。
あと作成が必要なのが、家計収支表。家計簿の簡易なものです。
月々いくら払えるのかの目処が立たないといけません
④経過を詳しく聞いて書面にする。
借金が増えていった過程を裁判所に報告しなければなりません。
ある程度、素案を書いて頂き、そこから、詳しく詳しく聞き取って作成します。
相当詳細なものが必要となり、適宜裏づけとなる書類も必要となることもあります。
⑤書類等が揃えば申立。
ここまでの時間は簡単な事案であれば3から4ヶ月程度ですが、
集める書類の多さや、事件の複雑さやあなたの忙しさによって
進み具合は大分変わります。事業を営まれている場合はかなり時間がかかられることが多いです。
申し立てまで相当な時間を費やすことになりますが、一緒に頑張りましょう。
申立後、追加書類の指示があります。
その後、債権額の確定の手続きを経て、具体的にいくらを返すことになるのかが決まっていきます。
申立てから支払い開始まで最短で100日です。
⑥再生計画案の提出
具体的にどう払っていくのかを裁判所に提出します。
⑦支払いの開始
債務整理のその後
債務整理をする目的は生活の再建です。
ただ、借金が処理できればいいのではありません。
これからの人生設計も一緒に考えてみましょうね。
→借金の問題を解決する為の指針
これからは借金をしない生活が待っています。
というのは、ヤミ金のような怖いところ以外は基本的には貸してくれません。
(債務整理をすると信用情報機関に情報が載ります。)
その間に、借金をせずとも、暮らしていける方法を身につけることもできるでしょう。
簡単に言うけれど難しいよと思うかもしれません。
ですが、ここまでやってきたあなたは、債務整理前とはきっと変わっています。
きっと大丈夫です。
それではもう少し、心配なところについて見てみましょう。
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大阪の司法書士 鈴木啓太
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